薬の副作用が怖くて、使うのをためらったり、迷った経験はありませんか? 「必要な効果だけ得られればいいのに」と思いながらも、現実にはそう簡単にはいかない──。
アトピー性皮膚炎と50年近くつきあってきた私は、若い頃からずっとそんな葛藤の中にいました。 今、治療法の選択肢が増えたこの時代だからこそ、若いアトピー性皮膚炎の患者さんに伝えたいことがあります。
昔の治療法と私の幼少期の経験
私が小学生だった1970年頃、湿疹で皮膚科を受診すると、抗ヒスタミン薬とステロイド外用薬が処方されるのが一般的でした。 塗り方の指導はほとんどなく、あってもごく簡単なものでした。
アトピー体質だった私は、一時的に良くなってもすぐにぶり返し、湿疹は広がり、症状は悪化する一方でした。
思春期の苦しみと、家族の支え
中学・高校生の頃は、体のあちこちに湿疹や掻き傷があり、色素沈着も目立っていました。 母が心配して、漢方薬や体質改善のサプリメントを試してくれましたが、効果は感じられず長続きしませんでした。
ステロイド外用薬がなくなるたびに皮膚科を受診して、症状を抑えるしかありませんでした。
「アトピー」という言葉との出会い
1980年頃私は高校生で、友人と遊んだり、文化祭や部活動、大学受験の勉強で多忙でした
相当なストレスがかかっていたのでしょう、いつも以上に体の湿疹は痒いし、傷が膿んでるし、しかも発熱していました
母に伝えると、湿疹の様子をみて即座に、総合病院の皮膚科を受診させました
即入院となり、2週間ほど点滴治療を受けました(カポジ水痘様発疹症)
その時の主治医に初めて「アトピー」という言葉を告げられました
ステロイドとの長い付き合い
大学生活、就職、結婚、出産と人生の節目を迎える中でも、アトピー性皮膚炎は一進一退を繰り返していました。
長年の使用で、皮膚の萎縮や赤ら顔など、ステロイド外用薬の副作用がはっきり出てきました。 それでも、症状のコントロールには欠かせず、止める勇気はありませんでした。
現在の治療──選べる時代に
ここ数年、アトピー性皮膚炎の治療選択肢は飛躍的に広がりました。
私のようにステロイドの副作用に悩んできた人にとって、ステロイド以外の外用薬や新しい内服薬の登場は大きな希望でした。 今ではステロイドの使用量は激減し、副作用も少しずつおさまってきています。
若い世代へのメッセージ
症状がひどくなると外出が難しくなり、気分も沈みがちになります。
ブログやSNSで、皮膚科を受診せずに我慢し、アトピー性皮膚炎を悪化させてしまっている若い方々の声を目にするたびに心が痛みます。
ステロイドの副作用を恐れるあまり、治療を避け、貴重な10代・20代・30代の時間を犠牲にしてほしくないのです。
私の若い頃には、ステロイドしか治療法がなく、それでもその効果のおかげで、勉強も恋愛も結婚も、ある程度普通の生活を送ることができました。 もちろん副作用も経験しましたが、人生そのものを諦めずに済んだことは事実です。
今は、よりよい治療法が存在します。
もし今、皮膚科にかかっていないなら、信頼できる医師を探してみてください。 有名な病院でなくてもいいのです。
話しやすく、信頼できる医師との出会いが、きっとあなたの人生を前に進めてくれるはずです。
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